WILD　CHILD　〜極光〜



２０


　啜り泣く声と嬌声とが混じり合った喘ぎが断続的に漏れた。マルフォイは唇を噛みしめて耐えようとしたけれども、完全にはできなかった。
強要される行為にも、体は生理的な反応を示す。肉体と理性の均衡は崩れ去っていた。
「気持ちよくない？」
　彼は耳朶を甘噛した。マルフォイは頸をねじって逃れた。
「化け…物…」
「見たの？」
　マルフォイは頷いた。途端なにかが頸に巻き付いた。指の感触がして、ぎりぎりと締め上げられた。
「見たら殺すって、この前云わなかった？」
「ダンブルドアが…お前を捜す。学校にいられなく…なる…」
「お互い様さ。幽霊に抱かれたマルフォイ。告発すれば、君は終わりだ」
「卑怯者っ」
「お前に云われたくはないね」
吐き捨てるように幽霊が云った。首に巻き付いていた指が離れ、細い顎を鷲掴みにした。強引に上向けた。
「お前はなにをしてきた？ボールに細工をしてハリー・ポッターの腕を折ったろう。授業中の怪我を口実にハグリッドを追いつめ、ノーバードを殺そうとした。卑怯者はどっちだ」
「だまれっ」
「卑怯者のマルフォイ。お前は僕と同類だ」
「違うっ」
「違わない」
　勝ち誇ったように言い放ち、更に深く突き入れた。
「う…うぁ…ああっ…」
　貫かれる痛みに、体がしなる。
「君は僕のだ」
　呪いの言葉を吐いて、それはマルフォイの体の中で蠢いた。吐き出された熱に体がはねた。
2002/1/7　UP
　今日は２節UPします。引き続き２１をどうぞ。

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