WILD　CHILD　〜極光〜



２２




　二日ほど「風邪」で寝込んだ。
　病み上がりの彼を出迎えたのは、下卑た噂だった。
「ポッターに恋人？」
「うん。誰かはわからないけど、生徒の誰かだよ。夜、頻繁に出歩いているそうだ。ウィーズリーにも隠しているらしい」
　マルフォイがハリーを無視し続けている今も、クラッブとゴイルの二人は忠実に彼らのゴシップを集め、マルフォイに運んでいた。
「へぇ。奴も人の子だね」
　無関心を装いながら、マルフォイは胸が凍ったように冷たくなるのを感じていた。
「何処行くの？」
　寮に戻るのとは違う角を曲がったマルフォイにクラッブが問うた。
「図書室」
　マルフォイは手にしていた紙片を示した。
「ようやく閲覧許可をもらえたからな。お前達も来るか？」
　それが過去何度もつき合わされたマルフォイの調べものだと悟って、二人はふるふると首を横に振った。正直なところ彼らにできることと言えば本を運ぶくらいのものだ。閲覧禁止書籍は司書教諭が書棚から取り出し生徒に渡す。彼らの介在する余地はなかった。
「僕らは一般書架で宿題をするよ。いい？」
　クラッブが言った。
「好きにすればいい。僕の許可なんか必要ない」
　お伺いを立てる態度に、マルフォイはいらつきを覚えた。
2002/1/8　UP
本日も２節です。引き続き２３をお楽しみ下さい。
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