WILD　CHILD　〜極光〜



２４




　振り返る生徒がいる。隣の生徒のローブを引っ張り、スリザリンの三人組を指さす生徒もいる。
「…マルフォイ。噂になってるよ？」
　もともと短い首をさらに引っ込め、居心地悪そうにクラッブが言った。
「うるさい。勝手な憶測だ。すぐ消える」
「そうかぁ？…早めに訂正しといた方が良くないか？」
　ロンの超絶不機嫌な視線をまともに喰らい、ゴイルが退き気味に言った。
　マルフォイがグレンジャーに懸想している。数日前の図書館でのやりとりが、曲解されて校内を乱れ飛んでいた。
「もう、お前達もうるさい！僕の側にいるから指さされるんだ。居なきゃいい！」
　気遣う取り巻きに癇癪を起こし、マルフォイは一人怒りながら先に行ってしまった。
　

「ハーマイオニー・グレンジャーに熱を上げているんだって？」
　一人で廊下を歩いていたマルフォイの耳元で彼の声が囁いた。どうやら隣を歩いているらしい。
「貴様か」
「この先に誰も知らない部屋がある。教えてやるから、おいで」
　彼は見えない手でマルフォイの手首を掴んだ。感触を頼りにその手を手繰り、腕を掴んでマルフォイは問うた。
「ちょうどいい。訊きたいことがあったんだ」
「なに？」
「ポッターの想い人って誰？」
2002/1/9　UP

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