WILD　CHILD　〜極光〜



４


　

「校長っ。断固犯人を捕らえるべきです」
「犯行が立証できなければどうにもなるまい」
「ご覧になったでしょう？疑いようがないっ。彼は…」
「だからこそ、じゃよ。不用意に騒げば、一番傷つくのは、マルフォイ自身じゃ」
「ですがっ」
「君は彼の名誉まで損ないたいのかね？」
　スネイプは押し黙った。怒りに体が震え、黒いローブが揺らめいた。

「犯罪のにおいだね」
「うん。これは事件だ」
　二人が立ち去った廊下で赤毛の双子が頷きあった。
　彼らは台座の後ろで貴重な会話を拝聴してしまったのだ。盗み聞きするつもりなどなかった。いつもの習性で、先生の影を見つけたから、咄嗟に廊下にあった彫像の裏に隠れたのだ。お小言を聞きたくない一心で。
「風邪ってのは、嘘だね」
「風邪じゃなきゃ、なんだろう？」
「さぁて？」
　興味本位の推測は、各寮を駆けめぐり、尾鰭はひれがついて、陰湿な噂に変質していった。彼は私刑に遭ったのだと。とんでもない辱めを受けたのだと。
2001/12/23　UP
　

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