WILD CHILD 〜極光〜４５「まだ怒ってるの？」 苦笑混じりの呆れ声だった。 「当たり前だろう！？馬鹿ばっかりだっ。グリフィンドールはっ！スネイプ先生の授業を潰すなんて！！！」 マルフォイはノーバディ相手に管を巻いていた。昼間の出来事を話していたら、次第に怒りが再燃してきたのだ。 「あいつがハリー・ポッターだなんて。詐欺だ」 ぴしゃりと言い放った。 「誰もがあこがれる英雄だぞ？ハリー・ポッターは。だのに、あいつはなんだ？全然違うじゃないか。成績だって僕より悪いし、いつもいつも騒ぎの中心にいるし、ウィーズリーの馬鹿とつるんで悪戯三昧。クイディッチが上手いだけのただのガキじゃないか」 眉根を寄せた忌々しげな顔つきで、腕を組み親指の爪を噛みながら、イライラと絨毯の上を歩き回る。 「どうして誰もがあこがれるかが不思議だね。みんな「ハリー・ポッター」っていうブランド名に目が眩んで、中身のお粗末さに気が付いてないんだ。あんな奴。ちっともすごくないっ」 「じゃあ、なんで絡んだの？」 ノーバディが問うた。彼は沢山のクッションを転がした絨毯の上に座り込んで話を聞いていた。 「むかつく」 「どうして？」 「あんな、看板に偽りありの馬鹿に僕が劣るなんて、僕が拒絶されるなんて！！こんな屈辱的なことがあるか！！」 いかにも我慢がならないといった様子で、マルフォイは金切り声をあげた。 「拒絶？」 「僕が、親切にも僕から声をかけてやったのに、あいつは僕を拒絶した。あんな屈辱は許せないっ！」 「…いつ、どんな言い方をしたの？」 「ホグワーツ特急の中。わざわざコンパートメントまで出向いてやったんだ」 「それで？」 「父上の天敵のウィーズリー家の人間が既に取り入ってたみたいだったから、慌てて」 「慌てた？」 「父上から聞いていたもの。あの家の連中がどれだけ父上の邪魔をするか。どれだけ迷惑を被っているか。そんな奴が側にいてごらんよ。あることないこと吹き込まれて、嫌われるに決まってるじゃないか！」 ノーバディが忍び笑いを洩らした。言外に、嫌われたくなかった、好かれたかったと云っていることにマルフォイは気がついていない。 「…それで？」 「だから、あんな連中に関わらない方がいいって、格の違いをわからせてやろうと思って…」 「尊大に振る舞って、嫌われたの？」 図星を指されて、マルフォイは泣きそうに顔を歪めた。 「ものすごく考えて考えて、一生懸命考えてた台詞だったんだよ！？見下げられたら格好悪いし、僕、ハリー・ポッターがどんな子か知らなかったし…」 笑い声が上がった。しかも大笑の部類である。白い布を被っていたノーバディが、もんどり打つように笑い転げていた。 2002/1/29 UP予定の半分ですが、とりあえずup。なんかギャグ化してきた…。 ← → |