WILD　CHILD　〜極光〜



４８






　繰り返される授業、絶え間ない喧騒。頻発する生徒達の悪戯。
　ホグワーツは平穏そのものだった。
　季節は晩春へと移り、むせかえる若木の薫りの中、生徒達の関心は寮対抗クイディチ戦に集まっていた。
　対戦はあと一試合を残すのみ。
　スリザリン対グリフィンドール。
　それまで続いていたスリザリンの連勝記録に、先年グリフィンドールが泥を塗った。スリザリンが王座に返り咲くか、グリフィンドールが阻み、連勝記録をうち立てるのか。誰もが関心を寄せていた。
　寮にはそれぞれに個性がある。チームの戦法にもそれは反映された。
　レイブンクローは知能戦に長け、パッフルバフはその場の勢い、グリフィンドールは熱血のフェアプレイ、スリザリンは結果よければ全て良し反則ぎりぎりのアンフェアプレイ。
　シーカーにハリー・ポッターを迎え、先年優勝したグリフィンドールの前評判が高かった。寮生はそれぞれに贔屓のチームにエールを送り、選手は練習に没頭した。マルフォイもそのひとりだった。
　ハリー・ポッターは１年次でシーカーに抜擢された。それは選手の最低年齢記録を塗り替えるものだった。
　彼のライバルを自負していたマルフォイに座視できるものではい。彼はハリー・ポッターと同じポジションを得るのに手段を選ばなかった。スネイプに頼み込み、父にせがみ、上級生にもごねた。家からチームへ多額の寄付金を出させもした。
　どれが功を奏したのかはしらない。
　形振りかまわぬ働きかけをして、二年次にシーカーのポジションを得た。その翌年、スリザリンは８年連勝の座を転げ落ちた。
　ハリー・ポッターと争わなくなったマルフォイの評価は二つに分かれていた。
　ひとつは、子供じみた行いから卒業した、大人になったというもの。
　もうひとつは、負け犬。
　ハリーと競わないマルフォイに、舌打ちをするものも少なからずいたのだ。ハリーとマルフォイの争いはグリフィンドールとスリザリンの代理戦争でもあった。一方的に降板したマルフォイへの風当たりは強かった。
　ハリーと対抗することを煽るために為された処置の全てに、それは反映された。
2002/2/01　UP
今日は短いです。続きは明日。

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