WILD　CHILD　〜極光〜



５４




　
「どういうことだ？これは！？」
「ああ、これは透明マント。綺麗に透けるんだ。見ててごらん」
　掴みかかるマルフォイに、ウインクを一つ投げて寄こし、ハリーは身を屈めた。抱いていたマルフォイの床におろすと、マントを大きく振って広げ、二人の上に被せた。息を潜め床に伏せること数分。ピープズーが、二人に気がつくことなく頭の上を通り過ぎた。
「ほら、貴重だろ？透明マントは高度な魔法の集大成みたいなものさ。呪文を織り込んだ特別の織物だからね。姿現しの呪文も効かないのさ」
「…ってことは」
「ご明察。姿消しの呪文で隠れた上に、これを被ってたの。完璧でしょ？透明マントのおかげで、図書館の本は閲覧し放題だもん、僕。声を変えるのだってお手のものさ」
　悪びれる素振りもないもの言いだった。
「マルフォイはもう少し人を疑うことを覚えた方がいいよ」
「そういう問題じゃないっ。貴様っ。貴様だったのか！！この変態っ。強姦魔っ。告発してやる。お前なんてっ」
「…っとに、素直じゃないなぁ」
　首筋を舐められて声が上がった。マルフォイは自分の声に赤面した。
「こっちの方がよっぽど素直だ」
　ハリーが満足そうに頷いた。
　マルフォイはショックの醒めやらぬ頭で、ハリーを見上げた。
　この声、この顔。まごう事なき彼だ。憎み合っているはずの、自分のことを嫌っているはずの、ハリー・ポッターだ。
　頭が混乱する。
　ノーバディがハリー・ポッター？自分は彼になにをしてきた？泣いて、甘えて、体を重ねた。
　恥ずかしさで気が遠くなった。
　爪を立てられて、正気に引き戻された。衣服の中に彼の手が忍び込んでいた。確かめるようになで回している。この状況、彼の行動。
「馬鹿かっ。場所を考えろっ。ここは階段だ。やめっ」
　敏感なところをさすりあげられて仰け反った。
「これを被っていれば、見えない。声さえ立てなきゃね」
　恐ろしいことを平然と口にする。
　マルフォイは逃げようと体を捩った。まるで歯が立たない。慣れた手つきで組み伏せられた。敏感な所を責め上げられ、抵抗もできなくなる。
　はじめからマルフォイに不利な勝負だった。
2002/2/6　UP
二週間ぶりなので、勘弁してやって下さい。

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