WILD　CHILD　〜極光〜



８



　三人は医務室から逃げ出した。誰もがショックを受けていた。
「なによ。なんなのよ。どういうことよ。あれはなんなのよっ」
　人気のない深夜の談話室でハーマイオニーがヒステリックに叫んだ。
「まるで私が悪いみたいじゃないっ。主席を取るのがいけないことなの？私だって、馬鹿にされて、これでしか…」
「分かってる」
　ロンが、涙声でしゃくり上げるハーマイオニーの肩を抱いた。
「穢れた血」
　投げつけられる侮蔑の言葉。成績という公正明大な基準で勝負することで、彼女は根拠のない差別意識と戦ってきたのだ。
「だれにだって言い分はあるんだよ」
　ハリーがぽつりと云った。
「僕らが僕らなりの方法でなにかを貫けば、誰かが傷を負っていく。そいつに恨まれたとしても、それが意味のない逆恨みでも、僕らはその人を馬鹿にしてはいけないと思う」
　ハーマイオニーは泣きながら、女子寮への階段を登っていた。
　ロンとハリーも部屋に戻り、黙ってそれぞれのベッドに潜り込んだ。
2001/12/27　UP
　

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